近年,地球温暖化対策の観点から,欧州を中心に温暖化係数(GWP : Global Warming Potential)の高い冷媒への規制が行われるなど,世界的に低GWP冷媒への転換が急務となっている.次世代カーエアコン用冷媒として開発されたHFO-1234yfはGWPが4と他のフロン系冷媒と比較して大幅に小さいため,定置用ヒートポンプへの適用可能性も検討されている.しかしながら,HFO-1234yf単体では潜熱が小さいため,定置用ヒートポンプに適用した場合,成績係数(COP : Coefficient of Performance)の低下が懸念される.これを解決するためのアプローチの1つはHFC-32など潜熱の大きい他の物質との混合冷媒として使用することである.
本研究では,混合冷媒の気液平衡(VLE : Vapor-Liquid Equilibrium)性質の測定を行い,HFO-1234yfを主成分とする 混合冷媒の平衡熱物性をより精度良く推算するために必要な状態方程式を提供することを目的とした.